大きな耳と、やわらかく波打つ巻き毛。どこか小さな妖精を思わせるデボンレックスは、計画的に生み出された猫種ではありません。
その歴史は、イングランド南西部のデヴォン州で偶然生まれた、1匹の巻き毛の猫から始まりました。
その猫の名前は、カーリー(Kirlee)です。
現在、世界各地で家族として愛されているデボンレックスの姿をたどっていくと、カーリーとの出会い、コーニッシュレックスとの交配、そして「同じ巻き毛でも別の猫種だった」という意外な発見へとつながります。
この記事では、デボンレックスがどこで生まれ、どのように独立した猫種として認められていったのかを、年代順に分かりやすく紹介します。
この記事で分かること
- デボンレックスが生まれた場所と年代
- 始祖となった猫カーリーの物語
- コーニッシュレックスとの遺伝的な違い
- デボンレックスという名前の由来
- 独立した猫種として公認されるまでの流れ
デボンレックスの歴史は英国デヴォン州から始まった
デボンレックス発祥の地は、イングランド南西部にあるデヴォン州です。
緑豊かな丘陵や農村が広がるこの地域のバックファストリーという町で、1959年、ベリル・コックスという女性が保護していた三毛の野良猫から子猫が生まれました。
その子猫たちの中に、1匹だけ黒褐色の巻き毛を持つ雄猫がいました。しっぽの毛まで波打つ、ほかのきょうだいとは明らかに違う姿をしていたと伝えられています。
近くの古い鉱山周辺では、以前から巻き毛の野良猫が目撃されていました。捕まえることはできませんでしたが、その猫が父猫だったのではないかと考えられています。
ベリル・コックスは、この珍しい子猫を家族に迎え、カーリーと名付けました。
資料によって「1959年」と「1960年」の両方が登場しますが、英国のGCCFの資料では、カーリーが生まれたのが1959年、ベリル・コックスが巻き毛猫の繁殖に取り組む人々へ連絡したのが1960年と整理されています。
カーリーより先に発見されていたコーニッシュレックス
実は、カーリーが生まれる約10年前の1950年、隣接するコーンウォール州でも巻き毛の雄猫が見つかっていました。
その猫はカリバンカー(Kallibunker)と名付けられ、後のコーニッシュレックスの基礎となりました。
当時の英国では、カリバンカーの巻き毛を受け継ぐ猫を増やし、新しい猫種として確立しようとする繁殖が進められていました。しかし、基礎となる猫の数が少なく、遺伝的な幅を広げることが大きな課題でした。
1960年、ベリル・コックスは新聞に掲載された巻き毛猫の記事を目にします。そこには、その猫が英国で唯一の巻き毛猫であるかのように紹介されていました。
「我が家にも巻き毛の猫がいる」と彼女が関係者へ知らせたことで、カーリーは繁殖に取り組む人々の注目を集めます。
同じ巻き毛を持つカーリーなら、コーニッシュレックスの新しい血統として重要な存在になると期待されたのです。
交配によって分かった2種類の巻き毛遺伝子
カーリーは、コーニッシュレックスの雌猫たちと交配されました。
同じ巻き毛同士であれば、巻き毛の子猫が生まれる。関係者の多くは、そう考えていたはずです。
ところが、生まれた子猫はすべて直毛でした。交配を繰り返しても、結果は変わりませんでした。
重要な発見
同じような巻き毛を持っていても、カーリーとコーニッシュレックスでは、巻き毛を生じさせる遺伝子が異なっていました。
これは、カーリーの巻き毛とコーニッシュレックスの巻き毛が、別々の劣性遺伝子によって生じていることを示していました。
その後、カーリーとその娘である直毛の雌猫を交配したところ、巻き毛の子猫が誕生します。カーリーの巻き毛が子孫へ受け継がれることが確認され、独自の猫種を作る道が開かれました。
当時は、コーニッシュレックス側の遺伝子を「Gene I」、カーリーから始まる系統を「Gene II」と呼び分けていました。
見た目が似ているから同じ猫種だったのではなく、交配の結果から遺伝的な違いが明らかになり、2つの猫種が分かれていったのです。
デボンレックスという名前の由来
「デボンレックス」という名前は、発祥地であるDevon(デヴォン州)と、巻き毛を表す猫種名に使われるRex(レックス)を組み合わせたものです。
レックスという言葉は、もともと巻き毛を持つウサギの品種名にも使われていました。猫の世界でも、特徴的な巻き毛を持つ猫種を表す名称として定着していきます。
デボンレックスは発祥地そのものを名前に持つ猫種です。現在の姿にも、英国デヴォン州の小さな庭で生まれたカーリーの歴史が残されています。
独立した猫種として公認されるまで
カーリーの系統がコーニッシュレックスとは異なると分かった後、繁殖に携わる人々は、デボンレックスを独立した猫種として確立する取り組みを進めました。
英国では1965年に両猫種のスタンダード案が作られ、1966年にGCCFへ公認申請が行われました。そして1967年、デボンレックスは独自の猫種番号を与えられます。
その後、デボンレックスは英国からほかの国々へ広がり、主要な猫種登録団体でも独立した猫種として認められていきました。
カーリー自身は1964年に繁殖を終えた後も大切に暮らし、キャットショーでは「最初のデボン」として人々の注目を集めたと伝えられています。1970年に事故で亡くなりましたが、その遺伝子は現在のデボンレックスへ受け継がれています。
コーニッシュレックスとデボンレックスの違い
どちらも英国生まれの巻き毛猫ですが、歴史だけでなく、外見や被毛にも違いがあります。
- デボンレックスは、大きく低い位置についた耳、幅のある頬骨、短い鼻、やわらかく不規則に波打つ被毛が特徴です。
- コーニッシュレックスは、卵形に近い頭部、すらりとした体、全身にそろって現れる細かなウェーブが特徴です。
2つの猫種が似て見えるのは、どちらも巻き毛という珍しい特徴を持っているためです。しかし、その巻き毛を生み出す遺伝的な仕組みは異なります。
カーリーとコーニッシュレックスの交配で直毛の子猫だけが生まれたことは、この違いを知るうえで象徴的な出来事でした。
カーリーから受け継がれた現在のデボンレックス
現在のデボンレックスには、さまざまな毛色や模様があります。
我が家のエマとティティも、同じデボンレックスでありながら、毛色も表情も性格も違います。それでも、大きな耳、やわらかな巻き毛、人との距離の近さなど、デボンレックスらしさを感じる瞬間があります。
歴史を知ると、その特徴が単に「珍しい見た目」なのではなく、1匹の猫との偶然の出会いから大切に受け継がれてきたものだと分かります。
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デボンレックスの歴史についてよくある質問
デボンレックスはどこの国で生まれた猫ですか?
デボンレックスは英国で生まれた猫種です。発祥地は、イングランド南西部のデヴォン州バックファストリーとされています。
デボンレックスの始祖となった猫は誰ですか?
デボンレックスの基礎となった猫は、巻き毛の雄猫カーリーです。1959年にベリル・コックスが保護していた猫から生まれ、後のデボンレックスの系統につながりました。
デボンレックスとコーニッシュレックスは同じ猫種ですか?
別の猫種です。どちらも巻き毛を持ちますが、巻き毛を生じさせる遺伝子が異なります。カーリーとコーニッシュレックスの交配で巻き毛の子猫が生まれなかったことから、その違いが明らかになりました。
なぜデボンレックスという名前なのですか?
発祥地のデヴォン州を表す「Devon」と、巻き毛を表す猫種名に使われる「Rex」を組み合わせた名前です。
まとめ
デボンレックスの歴史は、英国デヴォン州で偶然生まれた1匹の巻き毛猫、カーリーから始まりました。
当初はコーニッシュレックスと同じ系統だと考えられていましたが、交配によって巻き毛の遺伝子が異なることが判明します。その発見をきっかけに、カーリーの子孫はデボンレックスという独立した猫種になりました。
現在のデボンレックスが持つ大きな耳、独特の顔立ち、やわらかな巻き毛。その背景には、カーリーを見つけ、大切にし、その特徴を未来へ残そうとした人々の歩みがあります。
我が家がデボンレックスと出会うまでの話は、デボンレックスを迎えるまでにまとめています。歴史を知った後に読むと、1匹との出会いが家族の物語につながっていくことを、より身近に感じていただけるかもしれません。
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性格や体の特徴、実際に一緒に暮らして感じる魅力をまとめています。